概要(2022年3月28日更新)
- jimminvictim0314
- 2022年3月17日
- 読了時間: 5分
更新日:2022年5月1日
概要(2022年3月28日)
人民新聞社は、社員であった村上薫さんを、セクシュアルハラスメント、およびパワーハラスメントを通じて退職強要を行いました。村上さんは話し合いを通じて解決への道を模索しましたが、人民新聞社の態度は誠実なものとはいえませんでした。被害者である村上さんは人民新聞社を相手に裁判を求めることとしました。
これまでの経緯
人民新聞社は長い歴史を持つ左翼メディアであり、これまで何度も女性や性的マイノリティへの差別的な態度を批判されてきましたが、これを改めてきませんでした。
2020年11月以降、大阪万博に向け、メンズエステの摘発が増加傾向になると、村上さんは不安を感じ、同僚であり友人である従業員A氏に対し相談をしました。村上さんは不安感や怒りを共有してもらうことを期待していました。しかし、村上さんと従業員A氏の会話の中で、この話題は「この仕事を続けてることで『弾圧リスク』(逮捕される危険性)がある」という危機感にすり替わっていきました。
新聞社を大切にしてきた村上さんは、新聞社を守るためには自分が籍を外さなければならないと考えるに至ります。これは客観的には、非常にネガティヴで飛躍のある発想だとみられるかもしれません。しかし、村上さんが入社以来4年間ものあいだマイクロアグレッション※を受け続けていたとすれば「自分さえ我慢すればいいのだ」という発想に至ったことは不思議ではありません。
(*註)マイクロアグレッション(microaggression)
…「マイクロアグレッションというのは、ありふれた日常の中にある、ちょっとした言葉や行動や状況であり、意図の有無にかかわらず、特定の人や人や集団を標的とし、人種、ジェンダー、性的指向、宗教を軽視したり侮辱したりするような、敵意ある否定的な表現のことである。」
(デラルド・ウィン・スー『日常生活に埋め込まれたマイクロアグレッション』明石書店、2020年、p.34)
「どんなマイクロアグレッションでも、一度だけなら影響は小さいだろうが、生涯にわたって継続的に発生することにより影響は蓄積し、深刻な結果をもたらす可能性がある。」
(同書、p.36)
11月25日の話し合い
村上さんは「籍を抜きたい」と相談し、11月25日の人民新聞社事務所において、代表取締役B氏、取締役C氏、 従業員A氏と、村上さんとの話し合いの機会が持たれました。「男性3人、女性1人」というパワーバランスの悪い状況下での話し合いは、村上さんに対して加害的な場となりました。この点について人民新聞社は加害を行ったことを認めています。
この話し合いの途中、従業員A氏、代表取締役B氏および取締役C氏は、実際にあるかどうかもわからない「弾圧」を避けるため、村上さんに対しナイトワークを辞め、昼間の軽作業での就労をそれに代わるものとして提案しました。村上さんは売春防止法を含め、自分自身にとってメンズエステの仕事が大切であることを説明を行いましたが、とりあってもらえませんでした。
村上さんは大学を中退(高卒)しており、昼職で正規雇用を得るのは難しいと考えています。またアレルギー体質のため、働くことのできる環境は限られています。掃除、ホームヘルパー、花粉や土埃に晒される農業などにも就くことができません。提案された軽作業はこれらの条件を満たすものではありませんでした。
村上さんにとっては「ナイトワークで働けないのなら昼職で働けばいいではないか」という提案は、無責任かつ冷酷なものと受け止められるものでした。その結果、村上さんは1月5日になってファクシミリで退職届を送付するに至りました。
問題なのは11月25日の話し合いだけではなく、村上さんが入社して以降の、人民新聞の村上さんへの対応の全てが「セクシュアル・ハラスメントおよびパワー・ハラスメントを通じた退職強要」として村上さんに作用したことを、強調しておきます。人民新聞社が自分たちのシス・ヘテロ男性中心主義や女性差別など、とりわけジェンダーに関わる問題について深い関心を持ってこなかったことは、人民新聞社自身が2月4日に認めていることです。そのなかで村上さんは女性ジェンダーとして、マイクロアグレッションを受け続けてきたのです。
話し合いによる解決を模索
それでも、村上さんは労組による「団体交渉」や「訴訟」ではなく、「話し合い」を通じた解決の事例を作りたいと、労働組合「連帯ユニオン」や支援者たちの仲介を経た解決を模索しました。村上さんは、
代表取締役B氏、取締役C氏、従業員A氏に対し、パワハラ研修を受けることを求める
自己批判分を紙面に掲載することを求める
ナイトワークで働いていれば得られたであろう最低補償金額、および退職強要がなければ得られたであろう1月から3月までの給与を求める
以上3項目を求めた話し合いは、その後、1月18日、2月4日、2月17日、3月4日に行われました。村上さんの呼びかけにより、多くの仲間が話し合いに立ち会いました。
しかし、3月4日の話し合いでは、謝罪文と併せて、村上さんの証言が正確でないという主張や、村上さんの個人情報、加害者の自分語りを含む、二次加害的なレジュメが配られました。
これ以上の「話し合い」の継続は不可能と判断し、村上さんは3月14日付で人民新聞社を訴えることにしました。人民新聞社側は、裁判をすると村上さんが不利益を被るとほのめかし、裁判をやめさせようとするような言動を行いました。
2022年3月13日、村上さんは集会にあらわれた従業員A氏から、「人民新聞を訴えるような人を一緒に壇上にあげるわけにいかない」と述べられるなど、更なる侮辱的な発言を受けており、村上さんの精神的苦痛はさらに増大しています。
訴状では未払い分賃金および精神的苦痛による賠償金とともに、人民新聞社のナイトワークに対する偏見、女性蔑視、男性優位の労務環境を是正すべきという思いや、今まで人民新聞を辞めていった女性社員の方々の思いも込めて主張を行っています。
これまで村上さんは裁判だけにとどまらず、話し合いでの解決を模索してきました。裁判と同時に、労働組合「きょうとユニオン」を介した団体交渉を申し入れる予定です。
<人民新聞セクハラ・パワハラ退職強要>被害者である村上さんを支援する会
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